水に流す

naos

2017年02月01日 17:45

私の姉は、双極性障害(躁うつ病)という病気です。

1年の半分は、うつ状態で何も出来ず、ベッドの上。
半分は、ハイテンションで活動的になります。

躁状態のときは、
寝なくても元気で、次々にアイデアが出てくる。
多弁で注意散漫。
誇大妄想で、根拠のない自信に満ちあふれる。
散財、暴言暴力、性的逸脱。。などなど、、、

この病気で、仕事、家族、友人、財産…全てを失ってしまう人もいます。

姉は、幸い、とても理解のある伴侶に恵まれて、
どんなときも、ご主人が寄り添って支えてくれているので、
本当に救われています。


以前、姉がハイテンションの時には、
姉がしたいことや、好きなことに付き合っていました。
カラオケにいったり、ショッピングをしたり…
カメラが好きなので、時々モデルをさせられたり。

でも、あるスイッチが入ると、とんでもなく攻撃的になり、
生きる力を失ってしまいそうな暴言を吐かれます。

ワタシもそんな姉に対して
「きちがいか!!」と全身を震わせながら叫んだこともありました。

でも、病気だから、、、
何をされても、何を言われても、許さなければならない。
と、思ってきました。

これは、姉がしていることではなくて、
病気がさせていることなんだ。

と、頭ではわかっていても、なかなか受け入れられなくて、
そんな自分を責めて、疲れ果てて、
姉との関わりを断っていた時期もあります。


今、想えば、「姉」だから許せないのかもしれません。

変な言い方ですが「ひとりの患者」として姉をみたとき、
ごく一般的な双極性障害の言動ですから、
許すも許さないもなく、仕方のないことなんですよね。


今、ワタシは音楽療法を学んでいるので、
もちろん精神科領域のことも、知っておく必要があります。

こうした精神疾患の患者さんは、年々増加傾向にあり、
現在、約320万人もいらっしゃるそうです。
共感的理解が得られにくい病気なので、
本人は、死にたくなるくらい辛いのはもちろんのこと、
家族もやりきれない想いをされていると思います。


最近、私は自分を大切にするために、2つのことを心に置いています。

「テンションが上がったら、こうなるだろう」という予測はできるので、
予測できる言動に対して、いちいち腹を立てないこと。

許せなくてもいいから「水に流す」こと。

ある方から、嫌なことがあっても、水に流したら楽になる、
ということを教えてもらって、これだーーーーー!と思いました(笑)

「水に流す」は、「禊」の語源である「水濯ぎ」から派生した言葉だそうですが、
自分が抱く負の感情や穢れは「水に流す」のです。




さだまさしさんの「いのちの理由」という歌に、こんな歌詞があります。

わたしが生まれてきたわけは・・・

どこかの誰かを傷つけて。
どこかの誰かに傷ついて。
どこかの誰かに救われて。
どこかの誰かを救うため。

しあわせになるために、誰もが生きているんだよ。


みんながしあわせになればいいのに…と願いながらも、
ワタシ自身、いろんな人を傷つけて生きているんだろうな。


姉自身も、いろんな執着や、過去の心の傷を
「水に流す」ことができれば、少しは楽になれるんじゃないかな。。。

と思ったりする今日この頃です。




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